骨粗しょう症は、骨量の減少(骨密度の低下)により骨の強度が低下し、骨折しやすくなる状態を指します。骨は皮膚などの他の組織と同様に新陳代謝が行われており、古い骨が常に新しい骨に置き換わっています。具体的には、破骨細胞が古い骨を吸収し、骨芽細胞が新たな骨を生成するサイクルが繰り返されており、この過程を通じて骨は強度と形状を保っています(リモデリング)。しかし、骨粗しょう症の患者さんでは、骨吸収が骨形成を上回り、骨の強度が低下してしまいます。


■骨粗しょう症(骨粗鬆症)の症状

 


骨粗しょう症は、通常、痛みを伴わないことが多いです。しかし、以下のような症状がある場合、骨粗しょう症の可能性があります。
・身長が以前より低くなった気がする
・背中や腰が曲がってきた
・背中や腰に痛みを感じる
・手足の関節が痛む
痛みや自覚症状がないことが多いため、定期的に骨密度検査を受け、日常的なチェックが必要です。


■骨粗しょう症(骨粗鬆症)の原因

 


骨粗しょう症の原因は大きく三つのタイプに分類されます。

<加齢>
加齢に伴い、骨密度が低下する主な理由として、カルシウム吸収を助けるビタミンDの生成が減少することや、腸からのカルシウム吸収が悪化することがあります。さらに、加齢により食事の好みや運動量が減少する生活習慣の変化も影響します。

<女性ホルモンの低下>
骨粗しょう症は特に女性に多い疾患で、患者の約80%が女性とされています。エストロゲン(女性ホルモンの一種)は骨からカルシウムが溶け出すのを抑制する作用があり、女性ホルモンの分泌が低下すると急激に骨密度が減少します。これにより、同年代の男性に比べて女性は早期に骨密度が低下します。

<生活習慣>
運動不足や寝たきりの生活は、骨への負荷が不足し、骨量の減少を引き起こします。また、食事からカルシウム、ビタミンD、ビタミンKなどが不足すると、骨密度や骨質の低下に繋がります。


■骨粗しょう症(骨粗鬆症)の検査

 


当院では、骨粗しょう症の予防・診断・治療の一環として、最新鋭の骨密度測定装置「PRODIGY Fuga-C Lite」を導入しております。本装置では、骨折のリスクが高い腰椎と股関節の2部位をDEXA法で測定し、より精密な骨密度の評価が可能です。この測定法は、大学病院や総合病院でも採用されており、骨粗しょう症診断基準(ガイドライン)でも推奨されています。これにより、地域の皆さまに最先端の骨密度測定を身近に受けていただけるようになりました。骨粗しょう症の予防や治療に関心がある方は、どうぞお気軽にご相談ください。


■骨粗しょう症(骨粗鬆症)の治療

 


当院では、患者さんの状態に応じた治療を行っています。

<薬物療法>
薬物療法では、カルシウムやビタミンDの内服薬、骨吸収を抑制する薬剤を処方し、定期的な検査を通じて効果を確認しながら治療を進めます。患者さんの症状に合わせた適切な治療を提供します。

<食事療法>
カルシウム、ビタミンD、ビタミンKなど、骨の形成に必要な栄養素を意識して摂取することが大切です。カルシウムとビタミンDを同時に摂ることで、腸でのカルシウム吸収が向上します。高齢者では食の好みが変わり、タンパク質の摂取が不足しがちです。タンパク質不足は骨密度の低下に繋がるため、栄養バランスの取れた食事を規則的に摂ることが重要です。

<運動療法>
骨には負荷がかかるほど骨を形成する細胞が活性化され、強化される特性があります。また、筋肉を適度に鍛えることで全体のバランスも向上します。散歩や階段の利用など、日常生活の中で運動量を増やすよう心がけましょう。