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足底筋膜炎

足底筋膜炎は、足の裏にある足底筋膜という組織に炎症が起こる疾患です。足底筋膜は、かかとの骨から足の指の付け根まで伸びる丈夫な組織で、足のアーチを支える重要な役割を果たしています。特に中高年の方やスポーツ選手に多く見られます。

症状

足底筋膜炎の典型的な症状は、かかとの内側から足の裏にかけての痛みです。特に朝の起床時の第一歩や、長時間座った後に立ち上がった時の痛みが強いのが特徴です。歩いているうちに痛みが軽減することもありますが、長時間の歩行や立った姿勢では再び痛みが強くなります。痛みは刺すような鋭い痛みとして表現されることが多いです。

原因

足底筋膜炎の主な原因は、足底筋膜への過度な負荷です。加齢による足底筋膜の柔軟性の低下、扁平足や高いアーチなどの足の形状異常、肥満による荷重の増加、長時間の立位作業、不適切な靴の使用、急激な運動量の増加などが発症の誘因となります。また、ふくらはぎの筋肉の硬さも関連していると考えられています。

治療

保存療法

足底筋膜炎の治療は、ほとんどの場合保存療法で改善が期待できます。まずは安静を保ち、痛みを引き起こす活動を控えることが重要です。消炎鎮痛剤の服用や湿布の使用、アイシングが炎症の軽減に効果的です。また、足底筋膜やふくらはぎのストレッチ、足底のマッサージ、適切なインソールの使用も有効です。理学療法士による運動指導が行われることもあります。

手術療法

保存療法を6ヶ月以上続けても改善が見られない難治性の場合には、手術が検討されることもあります。手術では、足底筋膜の一部を切離したり、かかとの骨のトゲを除去したりします。ただし、手術が必要となるケースは全体の5%程度と非常に稀です。

アキレス腱周囲炎

アキレス腱周囲炎は、ふくらはぎの筋肉とかかとの骨をつなぐアキレス腱の周囲に炎症が起こる疾患です。アキレス腱そのものの炎症(アキレス腱炎)と、アキレス腱を覆う鞘の炎症(アキレス腱鞘炎)があります。ランニングなどのスポーツ活動に関連して発症することが多いです。

症状

アキレス腱周囲炎の典型的な症状は、アキレス腱の痛みと腫れです。特に歩行や走行時、つま先立ちをする際に痛みが強くなります。朝起きた時の歩き始めに痛みを感じることも多く、動き始めると痛みが軽減する場合も。アキレス腱に沿って押すと痛みがあり、腱を触ると腫れや熱感を感じることもあります。

原因

アキレス腱周囲炎の主な原因は、アキレス腱への過度な負荷です。急激な運動量の増加、不適切なウォーミングアップ、硬いふくらはぎの筋肉、不適切なシューズの使用、足の形状異常(扁平足や回内足)などが発症の誘因となります。また、加齢による腱の変性や、糖尿病などの全身疾患も関連することがあります。

治療

保存療法

アキレス腱周囲炎の治療は保存療法が中心となります。まずは炎症を起こした活動を休止し、安静を保つことが重要です。消炎鎮痛剤の服用、アイシング、湿布の使用が炎症の軽減に効果的です。また、ふくらはぎとアキレス腱のストレッチ、ヒールパッドの使用、適切なシューズの選択も重要です。理学療法士による運動療法や、超音波治療も行われます。

手術療法

保存療法で改善が見られない長期間続いている場合や、アキレス腱の部分的な切れを伴う場合には、手術が検討されることもあります。手術では、厚くなった腱を包む組織の除去や、劣化した腱組織の切除などが行われます。

痛風

痛風は、血液中の尿酸値が高い状態が続くことで、関節に尿酸の結晶がたまり、急激な関節炎を引き起こす疾患です。特に足の親指の付け根の関節に起こることが最も多く、激しい痛みを特徴とします。中年男性に多く見られる疾患です。

症状

痛風の典型的な症状は、突然始まる激しい関節の痛みです。多くの場合、足の親指の付け根に発症し、患部は赤く腫れて熱を持ちます。痛みは夜間から早朝にかけて始まることが多く、「風が当たっても痛い」と表現されるほど激痛です。発作は通常1週間から10日程度で自然に軽快しますが、治療を行わないと再発を繰り返し、慢性化することがあります。

原因

痛風の根本的な原因は高尿酸血症です。尿酸値が上昇する要因には、プリン体を多く含む食品の過剰摂取(レバー、魚の内臓、ビールなど)、アルコールの過剰摂取、肥満、ストレス、遺伝的要因などがあります。また、利尿剤の使用や腎機能の低下も尿酸値の上昇につながります。

治療

急性期の治療

痛風発作の急性期には、速やかに炎症と痛みを抑えることが重要です。非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)やコルヒチンが第一選択薬として用いられます。ステロイド薬が使用されることもあります。患部の安静と冷却も痛みの軽減に効果的です。

慢性期の治療(尿酸を下げる治療)

急性期の炎症が落ち着いたら、再発予防のために尿酸値を下げる治療を行います。尿酸を作るのを抑える薬(アロプリノール、フェブキソスタットなど)や尿酸の排出を促す薬が使用されます。また、生活習慣の改善も重要で、プリン体の摂取制限、アルコールの制限、適度な運動、水分摂取の増加などが推奨されます。

外反母趾

外反母趾は、足の親指(母趾)が小指側に曲がって変形する疾患です。同時に、親指の付け根の骨(第一中足骨)が内側に突出し、この部分に痛みや炎症が生じます。女性に圧倒的に多く見られ、特にハイヒールを履く機会の多い方に発症しやすいとされています。

症状

外反母趾の典型的な症状は、親指の付け根の痛みと変形です。靴を履いた時に親指の付け根が靴に当たって痛み、歩行時にも痛みを感じます。進行すると、親指が人差し指の下に潜り込んだり、上に重なったりすることもあります。また、足底にタコができたり、他の指にも変形が生じることがあります。

症状の程度分類

外反母趾は、親指の曲がり具合(外反母趾角)により軽度(15~30度)、中等度(30~40度)、重度(40度以上)に分類されます。角度が大きくなるほど、痛みや日常生活への支障も強くなる傾向があります。

原因

外反母趾の主な原因は、足に合わない靴を履くことです。特に先の細いハイヒールや、足に合わないサイズの靴を長時間履くことで、親指が圧迫され変形が進行します。また、遺伝的要因(家族歴)、扁平足、関節が柔らかいこと、加齢による足の筋力低下なども発症に関与します。

治療

保存療法

軽度から中等度の外反母趾では、保存療法が中心となります。まずは適切な靴選びが重要で、つま先に余裕があり、ヒールの低い靴を選ぶことが推奨されます。外反母趾用のパッドやインソール、夜間装具の使用も効果的です。また、足の筋力を強化する運動療法も重要です。痛みが強い場合には、消炎鎮痛剤の使用も行われます。

手術療法

保存療法で改善が見られない場合や、痛みが強く日常生活に支障をきたす場合には手術が検討されます。手術方法は多数ありますが、骨を切って角度を矯正する骨切り術が一般的です。関節の状態や変形の程度に応じて、適切な手術法が選択されます。

靭帯損傷

靭帯損傷は、関節を支える靭帯が伸びたり、部分的または完全に切れたりする外傷です。足・足首においては、足首の靭帯損傷(足関節捻挫)が最も頻度が高く、スポーツ活動や日常生活での転倒・転落時に発症します。損傷の程度により、1度(軽度)、2度(中等度)、3度(重度)に分類されます。

症状

靭帯損傷の症状は、損傷の程度により異なります。軽度の場合は軽い痛みと腫れ程度ですが、中等度では痛み、腫れ、内出血が見られ、歩行が困難になります。重度の場合は激痛、著明な腫れ、広範囲の内出血があり、関節の不安定性が顕著になります。また、体重をかけることができなくなることもあります。

原因

靭帯損傷の最も多い原因は、足首の捻挫です。足首を内側に捻る動作(内がえし)で外側の靭帯が損傷されることが最も頻繁です。バスケットボール、サッカー、バレーボールなどのスポーツ活動中や、段差でのつまずき、ハイヒールでの歩行中の転倒などが原因となります。

治療

保存療法

多くの靭帯損傷は保存療法で治癒します。急性期にはRICE処置(Rest:安静、Ice:冷却、Compression:圧迫、Elevation:挙上)が基本となります。消炎鎮痛剤の使用、サポーターやテーピングによる固定も行われます。その後、段階的に荷重を開始し、理学療法士による機能訓練を行います。

手術療法

重度の靭帯損傷や、保存療法で関節の不安定性が残存する場合には、手術が検討されます。靭帯の修復術や再建術が行われ、関節の安定性の回復を図ります。特にスポーツ選手では、早期の競技復帰を目指して手術が選択されることもあります。

腱断裂

腱断裂は、筋肉と骨をつなぐ腱が部分的または完全に断裂する外傷です。足・足首では、アキレス腱断裂が最も代表的で、特に30~40代の男性に多く見られます。スポーツ活動中の急激な動作や、日常生活での急な方向転換時に発症することが多いです。

症状

腱断裂の症状は断裂した腱により異なりますが、アキレス腱断裂では「後ろから蹴られたような衝撃」を感じることが特徴的です。断裂部位の痛み、腫れ、皮下出血が見られ、該当する筋肉の機能が著しく低下します。アキレス腱断裂では、つま先立ちができなくなったり、正常な歩行が困難になったりします。

原因

腱断裂の主な原因は、腱への急激で過度な負荷です。スポーツ活動中のジャンプやダッシュ時の急激な筋収縮、加齢による腱の変性、ステロイド薬の使用、糖尿病などの全身疾患による腱の脆弱化などが関与します。また、慢性的な腱炎がある場合も断裂のリスクが高まります。

治療

保存療法

部分的な断裂や、患者さんの年齢・活動度を考慮して保存療法が選択される場合があります。長期間の固定(通常8~12週間)が必要で、段階的に体重をかけることと関節を動かす訓練を開始します。ただし、再断裂のリスクがあり、筋力の完全な回復は困難な場合があります。

手術療法

完全断裂の場合や、活動度の高い患者さんでは手術が第一選択となります。断裂した腱の端と端を縫合する直接縫合術が一般的です。手術後は適切な後療法により、良好な機能回復が期待できます。最近では、皮膚を小さく切開する低侵襲手術も行われており、創部の合併症を減らすことができます。

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