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頸肩腕症候群(肩こり)

頸肩腕症候群とは

頸肩腕症候群とは、首から肩、腕にかけて痛みやしびれ、だるさなどの症状が現れる病態の総称です。特定の原因によって引き起こされる単一の疾患ではなく、様々な要因が複合的に絡み合って発症することが多いのが特徴です。一般的に「肩こり」として認識されている症状も、この頸肩腕症候群の一部に含まれることがあります。長時間のデスクワークやスマートフォンの使用など、現代社会における生活習慣が深く関与していると考えられています。

頸肩腕症候群の症状

主な症状は以下の通りです。

首や肩の凝り、痛み

重だるさや締め付けられるような痛みが持続することが多いです。

腕や指のしびれ、だるさ

神経の圧迫や血行不良によって引き起こされます。

頭痛、めまい

首や肩の筋肉の緊張が原因で起こることがあります。

眼精疲労

首や肩の緊張と関連して現れることがあります。

これらの症状は、特に疲労が蓄積したり、特定の姿勢を取り続けたりすることで悪化する傾向があります。

頸肩腕症候群の原因

頸肩腕症候群の原因は多岐にわたります。

不良姿勢

猫背や長時間の前かがみでの作業は、首や肩に過度な負担をかけます。

精神的ストレス

ストレスは筋肉の緊張を高め、血行不良を引き起こすことがあります。

長時間同じ姿勢での作業

パソコン作業やスマートフォンの使用など、首や肩の筋肉を酷使します。

運動不足

筋肉の柔軟性の低下や筋力不足は、頸肩腕症候群のリスクを高めます。

冷え

血行不良を招き、筋肉の凝りを悪化させることがあります。

これらの要因が複合的に作用し、首から肩、腕にかけての筋肉や神経、血管に影響を与えることで症状が発現します。

頸肩腕症候群の治療方法

治療は、症状の原因となっている要因を取り除くことが中心となります。

薬物療法

痛みや炎症を抑えるために、非ステロイド性消炎鎮痛剤や筋弛緩剤が処方されることがあります。

理学療法

温熱療法、牽引療法、電気療法などが行われます。また、ストレッチや筋力強化運動も重要です。

装具療法

首や肩の負担を軽減するために、コルセットなどが使用されることがあります。

症状が重い場合や、保存療法で改善が見られない場合には、神経ブロック注射などの治療が検討されることもあります。

頸椎椎間板ヘルニア

頸椎椎間板ヘルニアとは

頸椎椎間板ヘルニアは、首の骨(頸椎)の間にあるクッション材の役割を果たす椎間板が、何らかの原因で損傷し、内部の髄核が飛び出して神経を圧迫する病気です。この圧迫により、首だけでなく肩、腕、指先にまで痛みやしびれ、運動麻痺などの症状を引き起こします。腰の椎間板ヘルニアと同様に、多くは加齢による椎間板の変性や、首への負担が原因となります。

頸椎椎間板ヘルニアの症状

頸椎椎間板ヘルニアの症状は、飛び出した椎間板がどの神経根を圧迫するかによって異なります。

首から肩、腕、指先にかけての痛みやしびれ

特定の神経根が圧迫されると、その神経が支配する領域に放散痛やしびれが生じます。

腕の脱力感や筋力低下

神経への圧迫が強い場合、腕を動かす力が弱くなることがあります。

感覚障害

触れた感覚が鈍くなる、冷たいものが分かりにくいなどの症状が現れることがあります。

首の動きの制限

痛みを伴うため、首を特定の方向に動かせなくなることがあります。

症状が悪化すると、箸が使いにくい、ボタンがかけにくいなどの日常生活に支障をきたすこともあります。

頸椎椎間板ヘルニアの原因

 

頸椎椎間板ヘルニアの主な原因は以下の通りです。

加齢による椎間板の変性

椎間板は加齢とともに水分が失われ、弾力性が低下し、ヘルニアを起こしやすくなります。

首への物理的負担

不良姿勢:長時間のデスクワークやスマートフォンの使用など、首に負担のかかる姿勢。
重い物の持ち運び:首に急激な負担をかける動作。
スポーツ外傷:ラグビーや柔道など、首に強い衝撃が加わるスポーツ。

遺伝的要因

体質的にヘルニアを起こしやすい人もいます。

これらの原因が複合的に作用し、椎間板に亀裂が生じ、髄核が突出して神経を圧迫します。

頸椎椎間板ヘルニアの治療方法

治療はまず保存療法が基本となります。

薬物療法

痛みや炎症を抑える非ステロイド性消炎鎮痛剤、神経の痛みに対する薬(神経障害性疼痛治療薬)、筋弛緩剤などが用いられます。

理学療法

首への負担を軽減する姿勢指導、牽引療法、温熱療法、電気療法、そして首周りの筋肉を強化し、柔軟性を高める運動療法などが含まれます。

装具療法

頸椎カラーを使用して首の動きを制限し、安静を保つこともあります。

神経ブロック注射

痛みが強い場合、神経の炎症を抑えるために注射が行われることがあります。

これらの保存療法で改善が見られない場合や、筋力低下が進行している場合、脊髄症状(歩行障害など)が出現している場合には、手術を検討することもあります。手術には、突出したヘルニアを切除する方法などがあります。

頸椎捻挫(寝違え、むち打ち)

頸椎捻挫とは

頸椎捻挫とは、首の骨(頸椎)とその周りの靭帯や筋肉、関節包などが、外部からの強い衝撃や不自然な体勢によって損傷を受けることを指します。日常生活でよく経験する「寝違え」も頸椎捻挫の一種であり、交通事故などで生じる「むち打ち損傷」も、広義には頸椎捻挫に含まれます。これらの状態は、首の組織が許容範囲を超えて伸びたり、引き裂かれたりすることで発症します。

頸椎捻挫の症状

頸椎捻挫の主な症状は以下の通りです。

首の痛み

特に首を動かす際に痛みが増強します。痛みは急性的に発症し、ズキズキとした痛みや重だるい痛みが特徴です。

首の動きの制限

痛みのために、首を回したり傾けたりする動作が困難になります。

肩や背中の凝り、痛み

首の筋肉の緊張が広範囲に及ぶことがあります。

頭痛

首の筋肉の緊張が原因で、後頭部から側頭部にかけての頭痛を伴うことがあります。

腕のしびれやだるさ(むち打ちの場合)

重度のむち打ち損傷では、神経が圧迫され、腕や手先にしびれや脱力感が生じることがあります。

めまい、吐き気(むち打ちの場合)

自律神経系の影響により、これらの症状が出現することもあります。

症状の程度は、損傷の部位や範囲によって大きく異なります。

頸椎捻挫の原因

頸椎捻挫の主な原因は、首に瞬間的かつ不自然な力が加わることです。

寝違え

不自然な姿勢で長時間寝ていたために、首の筋肉や靭帯に過度な負担がかかることが原因です。

むち打ち損傷

交通事故などによる追突によって、首が前後に激しく振られることで生じます。この際、頸椎の過伸展・過屈曲が起こり、靭帯や筋肉、関節包などが損傷します。

スポーツ外傷

転倒や接触プレーなどで、首に直接的な衝撃や不自然なひねりが加わることで発生します。

転倒

足元が滑るなどして転倒した際に、首を強く打ち付けたり、不自然な体勢になったりすることで捻挫することがあります。

これらの原因により、頸椎を安定させている組織が損傷し、炎症や痛みを引き起こします。

頸椎捻挫の治療方法

治療の基本は、炎症を抑え、損傷した組織の回復を促す保存療法です。

急性期(受傷直後)

安静:首を動かさないようにし、負担をかけないことが重要です。
冷却:炎症を抑えるために患部を冷やします。
薬物療法:痛みや炎症を抑えるために、非ステロイド性消炎鎮痛剤が処方されます。
頸椎カラー:首の動きを制限し、安静を保つために装着することがあります。

慢性期(炎症が落ち着いた後)

温熱療法:血行を促進し、筋肉の緊張を和らげます。
理学療法:電気療法、牽引療法、そして徐々に首の可動域を回復させるためのストレッチや運動療法が行われます。

症状が重い場合や、むち打ちによる症状が長引く場合は、専門医による詳細な検査と治療が必要となることがあります。

頸椎椎間板症

頸椎椎間板症とは

頸椎椎間板症は、首の骨(頸椎)の間にある椎間板が、加齢などによって変性し、それに伴って痛みや不快感を生じる状態を指します。椎間板ヘルニアのように髄核が突出して神経を強く圧迫するほどではないものの、椎間板自体の変性や、それに伴う周辺組織への影響によって症状が引き起こされます。レントゲンやMRI検査で明らかな神経圧迫が見られないにもかかわらず、首の痛みや不快感が続く場合に診断されることがあります。

頸椎椎間板症の症状

頸椎椎間板症の主な症状は、以下のような特徴があります。

首の痛み

慢性的な首の痛みが最も一般的な症状です。特に、首を特定の位置に動かしたり、長時間同じ姿勢を保ったりすることで痛みが増悪することがあります。

首の動きの制限

痛みのために、首の可動域が狭くなることがあります。

肩や背中の凝り

首の痛みと連動して、肩甲骨周辺や背中にも凝りや重だるさを感じることがあります。

放散痛

神経根の圧迫が軽度である場合でも、肩や腕にかけての鈍い痛みや不快感を感じることがあります。しびれを伴うこともありますが、ヘルニアほど明確でないことが多いです。

頭痛

首の緊張が原因で、後頭部などに頭痛が生じることがあります。

これらの症状は、天候の変化や疲労によっても変動することがあります。

頸椎椎間板症の原因

頸椎椎間板症の主な原因は、椎間板の加齢による変性です。

加齢

椎間板は加齢とともに水分含有量が減少し、弾力性が失われていきます。これにより、椎間板が衝撃を吸収する能力が低下し、痛みが生じやすくなります。

繰り返しの負担

長時間のデスクワーク、スマートフォンの使用、重いものを持ち上げるなどの反復的な動作は、頸椎椎間板に持続的なストレスを与え、変性を促進させます。

不良姿勢

猫背やストレートネックといった不良姿勢は、首のS字カーブを失わせ、椎間板に不均等な圧力をかけることで変性を早めることがあります。

遺伝的要因

体質的に椎間板が変性しやすい人もいると考えられています。

喫煙

喫煙は椎間板への血流を悪化させ、変性を進行させるリスクを高めると言われています。

これらの要因が複合的に作用し、椎間板の構造が変化することで、痛みや不快感が生じます。

頸椎椎間板症の治療は、主に症状の緩和と椎間板への負担軽減を目指す保存療法が中心となります。

頸椎椎間板症の治療方法

薬物療法

痛みを和らげるために、非ステロイド性消炎鎮痛剤や筋弛緩剤が処方されます。神経の痛みに対しては、神経障害性疼痛治療薬が用いられることもあります。

理学療法

温熱療法:患部を温めることで血行を促進し、筋肉の緊張を和らげます。
牽引療法:首をゆっくりと引っ張り、椎間板への圧力を軽減します。
運動療法:首や肩周りの筋肉を強化し、柔軟性を高めるストレッチやエクササイズを行います。特に、正しい姿勢を保つためのインナーマッスルの強化が重要です。
姿勢指導:日常生活における正しい姿勢を指導し、首への負担を減らすことを目指します。

装具療法

頸椎カラーを使用し、首の安静を保つことで痛みを軽減します。

神経ブロック注射

痛みが強い場合には、痛みの原因となっている神経周辺に局所麻酔薬やステロイドを注射し、痛みを和らげます。

これらの治療によっても症状が改善しない場合や、日常生活に支障をきたすほど痛みが強い場合には、手術が検討されることもありますが、椎間板症に対しては保存療法が第一選択となります。

頸椎症

頸椎症とは

頸椎症とは、加齢に伴う首の骨(頸椎)や椎間板の変性によって、神経根や脊髄が圧迫されることで、首の痛みや手足のしびれ、運動障害などを引き起こす病気です。頸椎症は、大きく分けて「頸椎症性神経根症」と「頸椎症性脊髄症」の2種類に分類されます。長年の首への負担や、椎間板の老化、骨の変形(骨棘形成)などが原因となり、神経が通る道が狭くなることで症状が現れます。

頸椎椎間板症の症状

頸椎症の症状は、圧迫される神経の種類によって異なります。

頸椎症性神経根症

・首や肩甲骨周囲の痛み:首を特定の方向に動かすと痛みが増悪することがあります。
・片側の腕や手のしびれ、痛み:神経根の圧迫により、特定の神経が支配する領域に放散痛やしびれが生じます。
・腕の脱力感や筋力低下:神経への圧迫が強い場合、腕を動かす力が弱くなることがあります。
・感覚障害:触った感覚が鈍くなることがあります。

頸椎症性脊髄症

・両側の手足のしびれ、運動障害:箸が使いにくい、ボタンをかけにくい、歩行がふらつくなど、日常生活に支障をきたすことがあります。
・巧緻運動障害:細かい指先の作業が困難になります。
・歩行障害:足の運びが悪くなり、階段の昇降が困難になることがあります。
・膀胱直腸障害:重症の場合、排尿・排便のコントロールが困難になることがあります。

これらの症状は、ゆっくりと進行することが多いですが、転倒などの軽い衝撃で急激に悪化することもあります。

頸椎症の原因

頸椎症の主な原因は、加齢による頸椎とその周辺組織の変性です。

加齢

・椎間板の変性:椎間板の水分が減少し、弾力性が失われることで、潰れて高さが低くなります。
・骨棘の形成:椎間板の変性に伴い、骨の縁にトゲのような突起(骨棘)が形成され、神経根や脊髄を圧迫します。
・靭帯の肥厚:椎骨をつなぐ靭帯が厚くなり、脊柱管を狭めることがあります。

長年の首への負担

不良姿勢での作業、重いものを持ち上げるなどの動作を繰り返すことで、頸椎への負担が蓄積し、変性を促進させます。

遺伝的要因

体質的に頸椎が変性しやすい人もいます。

これらの要因が複合的に作用し、脊髄や神経根が通る脊柱管や神経孔が狭くなることで、神経が圧迫され、症状が発現します。

頸椎症の治療方法

頸椎症の治療は、症状の程度や種類によって異なりますが、まずは保存療法が基本となります。

薬物療法

痛みや炎症を抑える非ステロイド性消炎鎮痛剤、筋肉の緊張を和らげる筋弛緩剤、神経の痛みに対する薬(神経障害性疼痛治療薬)などが処方されます。

理学療法

温熱療法:血行を促進し、筋肉の緊張を和らげます。
牽引療法:首をゆっくりと引っ張り、椎間板や神経への圧力を軽減します。
運動療法:首や肩周りの筋肉を強化し、柔軟性を高めるストレッチやエクササイズを行います。正しい姿勢の維持も重要です。
姿勢指導:日常生活での首への負担を減らすための姿勢改善指導が行われます。

装具療法

頸椎カラーを使用して首の動きを制限し、安静を保ちます。

神経ブロック注射

痛みが強い場合、痛みの原因となっている神経周辺に局所麻酔薬やステロイドを注射し、痛みを和らげます。

頸椎症性脊髄症で、手足の麻痺が進行している場合や、歩行障害、膀胱直腸障害などの重篤な症状がある場合には、手術が検討されます。手術は、圧迫されている神経の通り道を広げることを目的として行われます。

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